【13日目】悲しみの目的

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 【悲しみ】の機能は、『助けたい』なのだと言った。
 何気なく、造作もなく、初歩的な常識みたいに、サラっと。

 それは、夕飯時のBGMをどうするか迷って、妻が「あ、久しぶりに見よー」と言って流したNHKの『チコちゃんに叱られる!』で。まったくテレビってやつは、ずっとそれまでゴミみたいなことしか喋っていないなと思わせておいて、忘れたころに何気なく琴線に触れてくるからタチが悪い。それはSNSなんかもそうだけど。そうか、なるほどね。【悲しみ】は『喪失』に対する拒否反応なのだね。自分の生きる糧を失うことだったり、家族や仲間を失うことだったりを防げなかった自分の無力への抵抗なのだな。この感情があるから、自分の『大切』なものが生まれるし、それを『守りたい』『助けたい』という気持ちが強く生まれるのだ。そして【怒り】もまたここから生まれるというわけだ。二次感情というやつ。何のことはなく【悲しみ】という感情が、連綿と続く争いの歴史と助け合いの心、両方の原因になって、結局ここまで人類を繁栄させたということか。ネガティブな感情は、すべての営みの燃料になるべくして、意味があって温存されてきた。私のこの感情も、何かのエネルギーになるために生まれている、のだとしたら、私はそれを、核ミサイルにもできるし、文明を発展させる力にもできるし、あるいは、誰もいない部屋の暖房に消費することもできる。

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